東京・墨田区「創造性豊かな“インド民族アート”約90点を一堂に紹介!『ミティラー美術館コレクション展 インド コスモロジーアート 自然と共生の世界』たばこと塩の博物館で開催」

たばこと塩の博物館では、2021年2月6日(土)から5月16日(日)まで、「ミティラー美術館コレクション展 インド コスモロジーアート 自然と共生の世界」を開催します。
ミティラー美術館は、新潟県十日町市の雪深い森にある旧大池小学校の校舎を利用した私立の美術館です。同美術館は、インドのミティラー地方において母から娘へと3,000年にわたって伝承されてきた壁画であるミティラー画をはじめ、インド先住民族ワルリー族が描くワルリー画やゴンド族の描くゴンド画、5,000年以上の歴史を持つテラコッタ(素焼の陶器)などを数多く所蔵しています。また、インド人の描き手を招へいし、新たなアートの創造の場を提供しています。新しい作品を含めて、その量と質は世界に類がないものとインド政府からも高く評価されています。
たばこと塩の博物館では、これまでに5回、同美術館と共催で展覧会を開催してきました。2006年以来約15年ぶりとなる本展では、美しい自然の中にある美術館のゆったりとした時間の中で制作された作品を中心に、伝統的な手法を守りつつも、現地の生活環境では生まれることのなかった創造性豊かな作品約90点を紹介します。自然との共生の中で生まれた作品たちをお楽しみいただきます。

■開催概要
名称  : 「ミティラー美術館コレクション展 インド コスモロジーアート 自然と共生の世界」
ヨミ  : ミティラービジュツカンコレクションテン インドコスモロジーアート シゼントキョウセイノセカイ
会期  : 2021年2月6日(土)~5月16日(日)
会場  : たばこと塩の博物館 2階特別展示室
主催  : たばこと塩の博物館
協力  : ミティラー美術館
所在地 : 東京都墨田区横川1-16-3(とうきょうスカイツリー駅から徒歩8分)
電話  : 03-3622-8801
FAX   : 03-3622-8807
URL   : https://www.tabashio.jp
入館料 : 大人・大学生:100円/満65歳以上の方(要証明書):50円/
      小・中・高校生:50円
開館時間: 午前11時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日 : 月曜日(但し5/3は開館)、5/6(木)

■展示作品の紹介
【ミティラー画】
ブッダやマハーヴィーラ(ジャイナ教の始祖)などの宗教家が生まれ、叙情詩ラーマーヤナの舞台としても知られるインド東北部に位置するミティラー地方。この地域で3,000年にわたり、女性たちは家族の幸せや豊穣などを祈って、家の土壁に線描画を描いてきました。母から娘へと伝承されるこの壁画では、竹の棒を筆にし、木の実や植物の汁など身近にある画材を使って、自然神やヒンドゥー教の神々の神話が描かれます。この地域にはまた、儀式の際に神々を招来するため、牛糞と粘土で清楚に塗られた大地に、米をすり潰した白い汁液で描くアリパン(床画)というものもあります。壁や大地に描かれていたこれらの伝統的な絵画は、1967年以降の現地の女性たちの自立と独立の美術運動を通して紙に描かれるようになり、ミティラー画として欧米諸国でその芸術性が高く評価され、広まっていきました。

Photo.01 上弦の月を喰べる獅子(1990年 26×32cm) ガンガー・デーヴィー
夢枕獏氏の同名のSF小説誕生の契機ともなった作品。

Photo.02 スーリヤムッキーの木(1989年 281×190.5cm) ガンガー・デーヴィー
インドを代表するアーティストで、ミティラー画の第一人者として高く評価されるガンガー・デーヴィーの作品。完成を前に亡くなったため未完であるが、彼女の最高傑作といえる。

Photo.03 クリシュナとラーダー(1985年 220×112cm) シーター・デーヴィー
ミティラー画の代表的な描き手シーター・デーヴィーによるもの。ヒンドゥー教の神クリシュナとラーダーが描かれている。

Photo.04 チャクラ(1990年 190×190cm) ゴーダーワリー・ダッタ
ヒンドゥー教の神ヴィシュヌ神が、指先に持つ土星の輪のような武器の名前をチャクラという。本作は、ゴーダーワリー・ダッタの日本滞在が契機となって生まれた。

【ワルリー画】
ワルリー族は、インド西部のマハーラーシュトラ州ターネー県に居住する先住民族で、主に農耕で生計を立てていますが、季節によって漁労に携わる人もいます。万物を育む女神、祖先、精霊、自然神を崇拝しています。ワルリーの人々は、米をすり潰して水と混ぜただけの真っ白な絵の具と竹を削った筆を用いて、婚礼の儀式が行われる部屋の壁面に赤土を塗り、儀礼画を描いてきました。1970年代初頭からは、経済支援の目的で政府によって配られた紙に、ワルリー族の神話や民話、生活などを描くようになりました。

Photo.05 村の結婚式(1994年 179×284cm) ジヴヤ・ソーマ・マーシェ
村全体と自然との関わりの中で行われる結婚式の始終を一枚に描いている。作者であるジヴヤ・ソーマ・マーシェは、ワルリー族の多くの伝統と知識を身につけ、 世界各地での公開制作の経験でも揺らぐことなく、「森に住む生活」を生きていた。

Photo.06 カンサーリー女神(豊穣の女神)(2004年 140×305cm) シャンタラーム・ゴルカナ
貧しいけれど心優しい男に豊穣の女神が米を与える様子を描いている。シャンタラーム・ゴルカナの作品は日本でも高い評価を得ている。

【ゴンド画】
インド中央部マディヤ・プラデーシュ州一帯に居住するゴンド族は、インドの500にもおよぶ民族集団の中でも最大の先住民部族です。独自の自然信仰を持つこの民族が、祈りの気持ちを表すため、村の儀礼や祭りの際に家の床や土壁に描いていた絵が原点とされます。ジャンガル・シン・シュヤム(1960~2001)は、ゴンドの森に住む生き物、神々、伝説などを独自のスタイルで描き、民族アートの枠を超えたゴンド画を確立しました。

Photo.07 飛行機(1999年 78×98cm) ジャンガル・シン・シュヤム
初来日したジャンガル・シン・シュヤムがミティラー美術館の応接室の壁に描いた飛行機を元に、擬似壁に描きなおした作品。

Photo.08 虎(1999年 95×157cm) ジャンガル・シン・シュヤム
日本で描いた作品。虎を描いた作品は他にも数点あり、彼の中では重要なモチーフだったようだ。

【テラコッタ】
インドには、5,000年以上に及ぶテラコッタ(素焼の陶器)制作の伝統があります。母なる大地は様々な形で崇拝されており、その大地から採った粘土で作られるテラコッタもまた、現地の人々に生き物のように扱われたり、守り神のように思われたりしています。ミティラー美術館では、1989年にインド政府から寄贈された109点の作品群のほか、日本の土と稲藁を使った現地にはない新たな作品も所蔵しています。

Photo.09 壺(1998年) ニラマニ・デーヴィー

Photo.10 自動車(2005年) ララ・パンディット

【ミティラー美術館】
1982年に設立された、新潟県十日町市の森にある旧大池小学校の校舎を利用した私立の美術館です。ミティラー画、ワルリー画、ゴンド画、テラコッタなどを所蔵し、常設公開しています。さらに、インドからアーティストを招へいし、現地とは異なる環境での制作活動の場を提供したことで、新たな表現も生まれました。
世界に散逸していくこれらの作品を一堂に集めることを目的になされたコレクションは、インド政府からも、その質と量において世界に類がないと高く評価されています。
2004年の新潟県中越大震災では建物、作品に甚大な被害を受け、2年近くの休館を余儀なくされましたが、2006年に再オープンを果たし、来年2022年には開館40周年を迎えます。

Photo.11 ミティラー美術館

Photo.12 ミティラー美術館所蔵作品の数々

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